オリジナル・ルーティン

イチローはアメリカでは「ルーティン・マニア」と呼ばれているのをご存知でしょうか?

ルーティンとは「決まりきった段取り」という意味で、大リーグ中継をご覧になっていれば誰もが、イチローが1球毎に行う独特の「動作」に気がつくと思います。バットを立てたり、肩袖を持ち上げたりするあの「しぐさ」です。

イチローはそれだけでなく、試合前に人一倍ストレッチングに時間をかけたり、試合後に入念にマッサージを受けたり、バットやグラブを特別丁寧に扱うことでも有名です。イチローの強靭な精神力の大きな理由のひとつが、彼の行う「ルーティン」にあります。

イチローほどの天才でも、結果が出ない時期が続けば「迷い」が生じます。「迷い」は心の隙間に入ってくるものです。「迷い」は、本能的・直感的プレーの大敵で、この隙間を埋めるものが「ルーティン(決まりごと)」なのです。

「迷い」は雪だるまのように自然に膨らむ性質を持っていて、これが厄介なのです。

ルーティンは、一つだけではありません。試合前・試合中・試合後・練習中、それどころか、日常生活にいたるまで、状況別に数多くのルーティンを作り上げることが、余計な「迷い」に打ち克つための秘訣です。よく知られていますが、イチローは、日常生活でも、数多くのルーティンを持っています。最近では辞めたそうですが、毎日カレーを食べたり・・・。

ほとんどのアスリートがルーティンのようなものを持っています。しかし、本当に信頼できるルーティンを作るためには、単にルーティンを決めるだけではだめです。それを試合中も、練習中も、同じように行えるようになること、そして、いつでもレゾナンス状態で行うことが大切なのです。

あなたのオリジナル・ルーティンを確立することで、好調・不調に左右されることなく、常に精神状態を一定に保つことができるようになり、それが「ゾーン」体験のベースとなります。



良いショットと悪いショットにはどのような違いがあるのだろう?ほとんどの場合、それは単に自信の差だ。その自信を高めるにはどうすればいいのだろう?信じられるルーティンを身につければいい。人はそれほど自信を失いやすいものなのだろうか?そのとおり。これは人生のあらゆる場面でも同じことが言える。

 

『ゴルフ ビジョン54の哲学 楽しく上達するための22章』
ピア・ニールソン&リン・マリオット ランダムハウス講談社



 

オリジナル・ルーティンは、非常に強力な「ゾーン」体験メンタルトレーニングですが、「迷信行動」や「ジンクス」と混同されているケースが目立つのが実情です。

迷信行動とは、大事な試合では赤いウェアを着る、試合会場に入るときには右足から入る、ゲルマニウムブレスレットをはめる、などです。

これらの迷信行動も、それなりの「暗示効果」はあり、迷いが生じるのを防ぐことに多少はつながります。しかし、それほど多くの効果を期待することはできません。

赤いウェアを着ることで勝ったとしても、それは「暗示効果」か「偶然」に過ぎません。医学・心理学用語でいえば、「プラセボ(偽薬)効果」です。何の努力もしていないのですから。

オリジナル・ルーティンは、「必然」を作り出すためのトレーニングです