イメージトレーニング

イメージトレーニングには多くの種類がありますが、そのうちのひとつでは、競技の前に、静かに目を閉じたままで、その競技を行っている自分の姿を、頭の中でイメージします。

ゾーン体験メンタルトレーニングにおける、このイメージトレーニングの目的は、「デジャビュ(既視体験)」を起こすことです。これが成功すると、ゾーン体験がぐっと近づいてきます。 デジャビュとは「既視体験」という意味で、「前にどこかで体験したかも」という感覚です。本番前に、イメージトレーニングを行うことによって、本番で「デジャビュ」を起こりやすくさせるのです。

例えば、競技スキーの選手が、大会の本番前にイメージトレーニングを行うことで、競技中に「デジャビュ」を感じることができれば、次のターンへの「迷い」を追い払うことができます。なぜなら、その「デジャビュ」では、パーフェクトの滑りができていたのですから。

1984年のロス五輪、体操の個人総合金メダリストである具志堅幸司選手は、決勝の会場へと向かうバスの移動中に、全ての競技を頭の中で完璧にイメージしたそうです。すると、自然と「日の丸」が一番高いところに高揚されているイメージまでもが浮かんできて、バスの中で涙を流したという逸話が残っています。

NHKドキュメント 『スポーツ大陸/金メダルへのイメージトレーニング』

また、試合前にイメージトレーニングを行うことによって、バスケットボールの選手が「デジャビュ」を感じることができれば、相手選手の動きに対して、「迷い」を生じさせることなく、機敏な対応が可能になります。 実際に、シカゴ・ブルズの黄金期を築いたカリスマ・ヘッドコーチであるフィル・ジャクソンは、選手に対して、この「デジャビュ」を起こすためのイメージトレーニング(視覚化訓練)を指導していました。




BJ・アームストロングやスコティー・ピッペン、そして他の選手たちも、ゲームの前に視覚化の訓練をしている。「ゲームの前に2-30分間時間をとって、これから起こることを視覚化すると、頭の中で一度見ているので、考えることなく反応できるんだ。ゲームの前、横になっていると、自分がシュートしたり、ボクシング・アウトしたり、ルーズボールをとったりしている姿が見えるんだ。だから、それからゲーム中に頭の中で一度見たことが起きた時、考えないで行動できるんだ。考え直すことも躊躇することもない。時々、ゲームの中で、「やった、あれは見たぞ!実際に起きる前に予想したんだ!」と思うことがある」とアームストロングは言う。 『シカゴ・ブルズ 勝利への意識革命』 フィル・ジャクソン(PHP研究所)




この「デジャビュ」のためのイメージトレーニングは「ゾーン体験」には必要不可欠です。なぜなら「デジャビュ」と「ゾーン体験」は、かなり近いものだからです。このイメージトレーニングを習得してこそ、「ゾーン体験」が近づいてくるのです。

ただ、このデジャビュを起こすためのイメージトレーニングは、とても難しいのです。理由はいくつかあります。継続が必要なのに、トレーニングは退屈でマンネリ感があること。 多くの場合、イメージ通りにならず競技中にミスを起こしてしまうこと。自己流でイメージトレーニングを始めた人のほとんどが、これらのカベを打ち破ることなく、イメージトレーニングを挫折してしまうのが実情です。

イメージトレーニングは、自己流で効果を上げることが非常に難しいトレーニングです。イメージトレーニングを効果的に行う場合は、専門のメンタルコーチの指導を受けられることを強くお勧めします。メンタルコーチは、趣向をかえて、あなたに様々なイメージ課題を与えていきます。 なお、イメージトレーニングを行う際にも、レゾナンスが大きな鍵を握っています。レゾナンス状態で行われたイメージは、ポジティブで記憶に残りやすいのです。イメージトレーニングはレゾナンス状態、もしくはレゾナンスで準備してから行えるようになることが大切です。